夜行日記
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第十幕前~準備をしよう!
コミックス2巻、第十幕前のオマケ挿絵を見て思いついたSSです。
話はもちろんリクつら。
この二人って、ふつーに部屋にいる時でも一緒にいるのかなー、と思いまして。
読まれる方は、「つづきはこちら」からどうぞ。
日も暮れて、食事を終えた奴良家のひと隅で、つららが何やらそわそわとしている。
リクオ「つらら、何してるの?」
つらら「あ、リクオ様。明日の準備をしようと思っていたんです。」
リクオ「準・・・備?」
リクオが不思議がるのも無理はない。
なんせつららの部屋の中には、複数のマフラー、かき氷セット、氷嚢、様々なサイズのクーラーボックス、etc.が所狭しと散らかっているのだ。
リクオ「こんなに持っていくつもり?」
つらら「いえ、それが何を持っていけばいいか分からなくて。」
リクオ「で、とりあえず持って行けそうなものを全部用意してみたんだ。」
つらら「はい!」
ぺカーっとにこやかな顔をしながら、つららが答える。
リクオ「いつもは綺麗に整っているのに、つららの部屋じゃないみたいだ・・・」
そんなリクオの呟きなどつららには全く聞こえておらず、今度は風呂敷を取りだしている。
リクオ「いや、つらら・・・普通今時の女の子は風呂敷では旅行に行かないよ。」
つらら「えっ?そうなんですか?」
リクオ「うん。」
どうやら本気で驚いているつららに、リクオは少々あきれ返る。
携帯やパソコンなど、ハイテクを駆使し学校にまで来ているはずなのに、どうしてこんな初歩的な事を知らないのだろうか、と。
つらら「そうだ、リクオ様。
それなら今時の女の子が旅行の時に何を持っていくか、教えて頂けませんか?」
リクオ「え?」
つららの突然の申し出に、リクオは虚を突かれポカンとした顔になる。
つらら「リクオ様は色々とご存じのようですし・・・ぜひ教えてください!」
つららの金色の眼差しに見つめられて、リクオは何故か自分に落ち着きが無くなるのを感じた。
リクオ「あ・・・えっと、まずはリュックサックだよね。」
つらら「はい、リュックサックですね!」
リクオ「つららは持っていなかったはずだから、僕のを貸したげるよ。」
つらら「ありがとうございます!」
相変わらずキラキラとした目でリクオを見続けるつららに、リクオは思わず顔を逸らす。
リクオ「えーと、とりあえずリュックを取りに、僕の部屋に行こうか。」
つらら「はい!」
自分の部屋までの僅かな道のりの間に、リクオははたとある事に気が付いた。
リクオ(ちょ、ちょっと待てよ。
そういえば女の子は荷物が多いよな。
いったい何を持って行っているんだ?)
まさか今さら知らないとは言えない。
かといって、男である自分と同じようでは、皆に怪しまれるかもしれない。
リクオ(そうだ、カナちゃんに聞いてみよう)
部屋に付くと、リクオはとりあえずリュックサックを渡して、必ず持っていきたいものを入れるようにつららに指示する。
つららは、『解りました』とぱたぱたと自分の部屋に荷物を取りに行った。
トゥルルルル・・・・トゥルルル・・・・カチャ
《はい、家永です。》
リクオ「あ、カナちゃん?」
《あ、リクオくん、こんばんは。》
リクオ「うん、こんばんは。
あのさ、ちょっと聞きたい事があるんだけど。」
《何?》
『変な風に思われるかもしれない。』
とリクオは少しばかり躊躇ったが、つららの為だと意を決して質問を口にした。
リクオ「えーとね、普通は女の子は、旅行の時に何を持って行くの?」
《え?フツー女の子って・・・旅行に何持っていくかって?》
リクオ「う、うん。」
《なんでリクオくんがそんな事聞くの?》
リクオ「いや、その・・・」
どう返答しようか困ったリクオが、ふと既に部屋から帰ってきていたつららの方にちらりと目をやる。
そこには、嬉しそうに鼻歌を歌いながら、リュックに氷袋を入れるつららの姿があった。
リクオ「つらら!それ、違・・・はっ」
あわてて電話を切ったが、自分の声が聞こえていた可能性は高い。
リクオ「うわぁ・・・明日どう言い訳しよう・・・。」
もし今の言葉を聞かれていたら、確実に何らかの答えが出るまでしつこく聞いてくるに違いない。
もはやリクオには、どうやって誤魔化すか、という事しか考えられなくなってしまう。
その後のつららとのやり取りも適当に相槌を打つだけで、リクオは自分でも何と答えたのか、次の日には全く覚えていなかった。
こうして、つららのリュックには氷ばかりが大量に入れられる事となる・・・
もちろん、次の日にはぬらりひょんの本領発揮で誤魔化しますw
しかしリクオって、どう考えても怪しいことこの上ない事を、つららの為ならばと電話で聞いているんですよね。
もうこれは『愛』ですよ、『愛』(^^)
けっこう理屈っぽい所もあるんですが、大雑把に生きています。